2026年8月13日、千葉県では非常に激しい雨が降り、各地で浸水などへの警戒が必要な状況となりました。
気象庁によると、8月13日17時50分には千葉県北西部・南部で線状降水帯が確認されています。千葉県も、8月13日からの大雨に伴う災害について、県内複数の市町に災害救助法を適用しました。
短時間に大量の雨が降ると、河川の氾濫だけではなく、道路冠水や排水能力を超える雨による浸水などによって、住宅が大きな被害を受けることがあります。
自宅が浸水した場合、
「まず何をすればいいのか」
「すぐに片付けても大丈夫なのか」
「火災保険は使えるのか」
「保険会社には何を提出すればいいのか」
と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、千葉県をはじめ大雨による浸水被害に遭われた方に向けて、被災直後にやるべきことから、火災保険の申請、復旧工事までの流れを詳しく解説します。
まず最優先するのは「安全の確保」です
住宅が浸水した場合、まず優先していただきたいのは人命と安全です。
水が引いたからといって、すぐに住宅内へ入ることが安全とは限りません。
浸水した住宅では、電気設備やコンセントなどが水に濡れている可能性があります。停電後の再通電による火災など、二次災害にも注意が必要です。政府広報も、浸水した住宅では電気の復旧時に通電火災などの危険があるとして注意を呼びかけています。
危険が残っている場合には、無理に片付けを始めず、自治体や電力会社、専門業者などの案内を確認してください。
火災保険申請までの基本的な流れ
浸水被害が発生した場合、概ね次のような順番で進めると整理しやすくなります。
①安全を確保する
↓
②片付ける前に被害状況を写真・動画で記録する
↓
③保険証券・契約内容を確認する
↓
④保険会社または保険代理店へ事故の連絡をする
↓
⑤施工業者などに被害状況を確認してもらう
↓
⑥復旧工事の見積書を作成する
↓
⑦必要書類を保険会社へ提出する
↓
⑧保険会社による損害確認・査定
↓
⑨保険金額の決定・支払い
↓
⑩復旧工事を進める
実際に必要となる手続きや書類は保険会社や契約内容、被害状況によって異なります。そのため、できるだけ早い段階で加入している保険会社または代理店へ連絡することが重要です。日本損害保険協会も、保険事故が発生した場合は契約している保険会社等への連絡を基本的な手続きとして案内しています。
① 片付ける前に「被害写真」を撮影する
火災保険申請を考える場合、特に重要なのが片付け・撤去・修理を始める前の写真です。
被害を受けると、
「早く水を出したい」
「泥だらけの家具を捨てたい」
「濡れた壁や床を撤去したい」
と思われるのは当然です。
しかし、一度撤去してしまうと、「どの程度浸水していたのか」「どの部分が被害を受けていたのか」を後から確認することが難しくなります。
政府広報でも、被災した住宅について、罹災証明書の取得や損害保険の請求に備えて、被害状況を写真に記録することを推奨しています。
外から撮影する写真
住宅の外観は、できれば東西南北の4方向程度から撮影してください。
建物全体と周辺の状況が分かる写真を残します。
浸水している場合には、
などを撮影しておきます。
政府広報も「家の外をなるべく4方向から」「浸水の深さが分かるように」撮影することを案内しています。
② 「何cm浸水したか」が分かる写真を残す
浸水被害では、水位が分かる記録が非常に重要です。
例えば外壁や室内の壁に水位の跡が残っていた場合には、その跡を消してしまう前に撮影してください。
できれば、
メジャーや定規を壁に当てて、床面や地盤面から何cmまで水が来たのか
が分かる写真も残しておくと、後から被害状況を説明しやすくなります。
「水がここまで来ました」という写真だけでなく、「地面から○cm」「床から○cm」と客観的に確認できる記録を残しておくことがポイントです。
③ 室内は「全体写真」と「アップ写真」を両方撮る
室内については、各部屋ごとに撮影します。
おすすめなのは、
①部屋全体が分かる写真
と
②被害箇所を近くから撮った写真
の両方を残す方法です。
政府広報でも、被災した部屋ごとの全景と、被害箇所に寄った写真の両方を記録することが推奨されています。
例えば、
など、被害を受けたものをできるだけ一つずつ記録してください。
写真は「撮り過ぎかな」と思うくらい残しておいた方が、後から必要になったときに困りません。
スマートフォンで動画を撮影しながら、家の中を一周しておくのも一つの方法です。
④ 捨てる家財も、処分する前に撮影する
浸水した家具や家電は衛生上の問題から、早急に処分しなければならない場合があります。
しかし、家財に対する補償が付いている火災保険に加入している場合、家財の被害についても保険請求の対象になる可能性があります。
そのため、
などを処分する前に写真を残しておきましょう。
政府広報も、住宅設備や家電などの被害状況を撮影しておくことを案内しています。
可能であれば、「何を処分したか」について簡単な一覧も作っておくと後から整理しやすくなります。
⑤ 加入している火災保険を確認する
住宅が大雨や洪水などによって浸水した場合、加入している火災保険の「水災補償」の対象になる可能性があります。
火災保険は火事だけを対象とする保険ではなく、契約内容によっては風災・水災などの自然災害による住宅や家財の損害についても補償します。金融庁も火災保険について、火災だけでなく風水災などの自然災害による建物や家具・衣服などの損害に備える保険と説明しています。
ただし、ここで注意が必要です。
すべての火災保険に水災補償が付いているわけではありません。
また、補償対象となる浸水の程度や免責金額、保険金の計算方法などは、契約している保険商品によって異なります。
そのため、「浸水したから必ず保険が使える」とは限りません。
まず保険証券や契約内容を確認し、不明な場合には保険会社または代理店へ問い合わせてください。
⑥ 保険会社へ連絡する
写真を撮影したら、加入している損害保険会社または保険代理店へ連絡します。
その際には、
などを説明するとスムーズです。
保険証券が見つからない場合でも、まずは契約している保険会社や代理店に相談してください。
⑦ 復旧業者に現地を確認してもらい、見積書を作成する
次に、住宅の復旧を行う施工業者などに被害状況を確認してもらいます。
浸水被害では、見た目だけでは分からない箇所に水が入っていることがあります。
例えば、
などです。
そのため、「水を拭いて終わり」ではなく、どこまで水が入ったのかを確認したうえで復旧方法を検討する必要があります。
施工業者には、保険会社へ提出する可能性があることを伝え、できるだけ工事項目を分けた見積書を作成してもらうとよいでしょう。
例えば、「内装工事 一式」だけではなく、
など、何にどの程度費用が必要なのかが分かる内容が望ましいでしょう。
日本損害保険協会も、保険金請求時に必要となる書類の例として、修理見積書や損害状況が分かる写真を挙げています。
⑧ 保険会社へ必要書類を提出する
実際に必要となる書類は保険会社や事故内容によって異なりますが、一般的には、
などを求められる場合があります。
日本損害保険協会も、保険金請求に必要な書類として、保険金請求書、事故を証明する書類、修理見積書、損害状況が分かる写真などを例示しています。具体的な必要書類は請求内容によって異なります。
そのため、自己判断で書類を大量に取得する前に、
「今回の被害では何の書類が必要ですか?」
と保険会社へ確認することをおすすめします。
⑨ 保険会社による損害確認・査定
書類を提出すると、保険会社が、
「今回の損害が契約上の補償対象なのか」
「損害額はいくらなのか」
などを確認します。
被害規模などによっては、保険会社や鑑定人などが現地を確認する場合もあります。
施工業者の見積金額が、そのまま保険金として支払われるとは限りません。
最終的な保険金支払いの可否や支払金額は、契約している保険会社が保険契約・約款や被害状況に基づいて判断します。
⑩ 保険会社から支払額の案内を受ける
損害確認が終わると、保険会社から支払われる保険金額などについて案内があります。
日本損害保険協会によると、保険金の支払い時には保険会社から支払額などの案内があり、指定された口座に保険金が支払われます。
必要書類がすべて保険会社に提出された日が「請求完了日」となり、通常の支払期限が設定されています。ただし、大規模災害時など、特別な調査が必要な場合には通常より確認に時間がかかることがあります。
保険会社の確認が終わるまで修理してはいけない?
「保険会社が確認するまで、壊れたところを触ってはいけないのでは?」
というご質問もよくあります。
実際には、安全確保や衛生上の理由から緊急の対応が必要なケースがあります。
例えば、
などです。
このような場合は、安全を最優先してください。
一方で、撤去・処分してしまうと後から被害を確認できなくなるため、
「施工前・撤去前の写真をできる限り残す」
ことが重要です。
また、緊急工事を行った場合には、
なども保管しておくとよいでしょう。
罹災証明書も確認しておきましょう
災害によって住宅が被害を受けた場合、市区町村へ申請することで「罹災証明書」が発行されることがあります。
罹災証明書は、住宅の被害程度を自治体が証明する書類で、公的な被災者支援制度などを利用する際に必要になることがあります。
政府広報でも、住まいが被害を受けた際の行動として、被害の写真撮影、片付け方法の確認、罹災証明書の申請、保険会社への連絡などを案内しています。
なお、火災保険申請に罹災証明書が必ず必要とは限りません。必要な書類は保険会社や被害内容によって異なるため、保険会社へ確認してください。
「保険金で無料で直せる」という業者には注意してください
災害後には、
「火災保険を使えば無料で修理できます」
「保険金請求を代行します」
といった勧誘が増える場合があります。
しかし、実際に保険金が支払われるかどうか、いくら支払われるかは保険会社が判断します。
日本損害保険協会も、住宅修理業者や保険金請求代行業者とのトラブルについて注意喚起しており、まずは加入している保険会社・代理店へ相談することを勧めています。
また、事実と異なる被害を申告したり、本来の被害以上の内容で保険金を請求したりしてはいけません。
施工業者の役割は、あくまでも実際の被害状況を確認し、必要な復旧工事を適正に見積もることです。
浸水復旧では「見えない部分」の確認も重要です
浸水被害では、表面だけをきれいにしても住宅内部に水分が残っていることがあります。
特に、
などに水が残った状態を放置すると、カビや臭い、建材の劣化などにつながる可能性があります。
そのため復旧工事では、
どこまで浸水しているのか
どこまで撤去する必要があるのか
十分に乾燥できているか
を確認しながら進めることが重要です。
浸水被害に遭ったときのチェックリスト
最後に、やるべきことをまとめます。
□ まず自分と家族の安全を確保する
□ 電気設備などに危険がないか確認する
□ 片付ける前に住宅全体を撮影する
□ 外観を複数方向から撮影する
□ 浸水した高さが分かる写真を撮る
□ 各部屋の全景を撮影する
□ 被害箇所をアップで撮影する
□ 家財を処分する前に撮影する
□ 保険証券・契約内容を確認する
□ 保険会社または代理店へ連絡する
□ 復旧業者に被害状況を確認してもらう
□ 工事項目が分かる修理見積書を取得する
□ 保険会社から指定された書類を提出する
□ 罹災証明書が必要か自治体に確認する
□ 応急処置・撤去を行った場合は写真や領収書を残す
かべいろはでは、住宅の被害についてご相談いただけます
大雨による住宅被害では、
「外壁の中まで水が入っているのか分からない」
「どこまで取り替えればいいのか分からない」
「保険会社に提出するための修理見積書が必要」
「早く住宅を復旧したい」
など、被災された方だけで判断することが難しいケースもあります。
かべいろはでは、外壁をはじめ住宅の修理・復旧についてご相談いただけます。
住宅に被害が生じた場合には、まず実際の被害状況を確認したうえで、必要な工事内容を整理することが大切です。
また、保険申請を予定している場合には、被害箇所の写真や工事見積書など、実際の被害・復旧工事の内容を確認できる資料を残しておくことも重要です。
8月13日の大雨によって千葉県内で住宅の浸水や外壁などの被害を受けられた方は、まず安全を確保したうえで、片付ける前にできる限り被害状況を写真に残してください。
そして、
「写真を残す」
→「保険会社へ連絡する」
→「住宅の被害状況を確認する」
→「復旧工事の見積もりを取る」
→「必要書類を提出する」
→「適切な復旧工事を行う」
という順番を意識していただければと思います。
かべいろはでも、住宅の修理・復旧についてお困りの際はお気軽にご相談ください。
※火災保険の補償内容や保険金の支払条件は、ご加入の保険会社・保険商品・契約内容によって異なります。保険金の支払い可否や金額を施工業者が保証することはできません。詳しくは、ご加入の損害保険会社または保険代理店へご確認ください。