更に良い外壁にするため改善の姿勢を持ち続ける。やさしさに定評ある工事店
有限会社粒来板金工業
岩手県九戸郡洋野町に拠点を構える有限会社粒来板金工業は、金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の施工を中心に、雨樋修理や外壁の張り替え工事などの外壁リフォームを行っています。創業から65年以上、真摯な仕事で地域の信頼を得てきた工事店です。
工事店の想い
PERSON
ものづくりが好きだった幼少期。後継ぎの意識を持って成長し板金の道へ
岩手県九戸郡洋野町の有限会社粒来板金工業(以下、粒来(つぶらい)板金工業)は、主に金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の施工を手掛ける1957年創業の工事店です。新築工事と外壁の張り替えやカバー工法など外壁リフォームを行っています。
「会社を始めたのは祖父で、今は後を継いで父が二代目になっています。小さい時から父と祖父が仕事をする様子を見ていたので、家に関わる仕事をしているというのはなんとなくわかっていました。僕は保育園くらいの頃から外で遊ぶよりもものを作ったりする方が好きな子どもでしたね。小学校4年生くらいの時に役物(※1)を作る手伝いをした記憶があるんだけど、それも作業自体は結構好きでした。子どもだから、夜や休みの日にゲームしてる時なんかに手伝いに呼ばれるのは、正直ちょっと嫌だったんですけどね」
笑いながら幼少期の思い出を話してくれたのは、専務取締役の粒来雄貴さん(以下、粒来さん)。当時から地域の人に「屋根屋の三代目」と呼ばれていたこともあり、自身も早いうちから家業を意識して、後を継ぐつもりで過ごしていたそうです。中学卒業後は工業高等専門学校建設環境工学科へ進学。親元を離れて寮生活をしながら、測量や地盤調査などの土木関係と建築関係を学びました。
「まずは外の世界を見ておこうという思いがあって、すぐに家業には入らず建設資材を扱う商社に入りました。大変だったのはとにかく取り扱う資材の種類が多く、それをすべて覚えなきゃいけなかったこと。営業をしていたので、お客さまに自分の言葉で説明できるよう必死で勉強しましたね」
商社の仕事に一生懸命取り組みながらも、幼少期からものづくりが好きだった粒来さんは、次第に「早くものを作りたい」「とにかく技術を身に付けたい」と強く思うようになり、2014年には実家に戻り粒来板金工業に入社しました。
粒来板金工業では入社後、すべての社員が板金の職業訓練校に入学するそう。費用も会社が負担しており、新人のスタッフが金銭的な心配をせずに働きながら学べる環境を整えています。粒来さん自身も入社後に2年通い資格を取得しました。
「元々手先は器用な方だったし先輩職人も親切に教えてくれたので、順調に技術を習得し仕事に慣れていきました。でも体力的にはしばらく大変でしたね。夏は暑いし、道具を使うのも力が要る作業が多いので。逆に得意なのは、どうすればうまくいくか、より良くなるかを考えて試行錯誤することかな。調べるのも好きなので、新しい機械について知識を増やしたり、何を使えばうまくいくかを調べて日々の施工に活かしています」
今後の展望について、粒来さんは「地域に密着した工事店として、お客さまから直接いただく仕事、特にリフォームを増やしていきたい」と話します。そのためにドローンを導入したりホームページを作成するなど、積極的に新しいことにチャレンジしているのだとか。スタッフ増員も視野に入れ、若手の育成にも力を入れていきたいそうです。
※1 役物・・・端部やコーナーの固定など、特殊の用途/場所に使用される特殊な形状の部材
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WORK
要望に応えるため、難しい施工でもどうすれば実現できるかを徹底的に考える
金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の工事をメインで行う岩手県九戸郡洋野町の粒来板金工業は、お客さまに寄り添った施工を創業から65年以上続けている地域密着型の工事店です。
粒来さんは事前の打ち合わせでお客さまの悩みを丁寧に聞くことを心掛けています。お客さまに具体的にイメージしてもらいやすいよう、色見本やカタログ、施工写真など視覚でわかりやすいものを使い、なるべく専門用語を使わず説明するようにしているそうです。
「屋根のリフォームが先に決まっていたお宅で、屋根工事で外壁を一部剥がすから一緒に外壁もどうですかと提案し施工に至った事例があります。ヒアリングしてみると『古い家だからとにかく寒い』とお困りの様子でした。既存の外壁は金属サイディングの裏に石膏ボードのようなものが入っているかなり古いタイプの外壁で、剥がしてみると案の定断熱材が入っていませんでしたね。外壁撤去後に断熱材を入れて通気シートを貼り、胴縁(※2)などの下地材を打って役物をつけてから、新しい金属サイディングの外壁を施工しました。普段は東京に住んでいるお客さまだったんですが、長期休みで帰省された際に『おかげで寒くなくなった』とお礼を言ってくださいました」
粒来板金工業はお客さまの要望に合わせた施工を行っており、最近では玄関ドアの周辺だけをレンガ調の外壁にする施工をしたそう。大変だったのは割付で、「こういった施工は、広い場所に張るよりも、今回であれば玄関ドアといった狭い場所に張る方が僕は大変だと思っています」と粒来さんは言います。難しい施工を依頼される機会も多いようですが、「新しいことにチャレンジするのも、どうすれば良くなるかを考えるのも好きなので苦にならないですね。頼まれたらできる限り断らないようにしています」と仕事への向き合い方を話してくれました。
「雨漏り修理だと原因になりやすいのはコーキング(※3)周りです。外壁からの雨漏りだったら、出窓などの取り合い部分は現地調査でしっかり確認が必要だと思います。地域柄、冬は積雪もあり気温も低いので、建物の凍害も問題になることが多いですね。窯業系サイディングは中に水がしみ込んで内側で凍り、外壁材がぼろぼろになってしまうんです。板金の外壁だとその心配がないのがメリットですね」
岩手県九戸郡の外壁工事について尋ねました。九戸郡の冬季の積雪は10~20センチ程度あり、雨樋(あまどい)が雪の重みで壊れる可能性があるため、高さに気を付けて設置しています。高さの具合は長年の経験から判断するそう。雪だけでなく強風の影響も鑑みて、雨樋や役物などの取り付けの際は、釘のピッチを狭くするよう全職人で統一しているとのことでした。また沿岸部は塩害対策として、錆が出にくい良い材料をお勧めしています。
「雨樋に関しては、このあたりは自然がたくさんあるので、どうしても落ち葉やゴミが詰まりやすくなります。予算にもよるのでお客さまとご相談にはなりますが、落ち葉が中に入りにくい特殊な雨樋もあるんですよ。耐久性もあり雪にも強くて、意匠性もあるのでこだわりたい方にはお勧めです」
※2 胴縁・・・壁の板張りやボード張りなどを受けるための下地部材
※3 コーキング・・・継ぎ目の隙間を埋める目地材
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MESSAGE
得意の金属加工技術を、施工はもちろん組合での活動にも活かす
「2019年からずっと、全国建築板金競技大会の技能競技の部に出場しています。最初はあまり練習もしていなかったので結果も振るわなかったんですが、仕事の合間の時間を使って練習を増やして順位を上げていって、2023年には優勝できました。その年はもう、空き時間はほとんど練習に費やしていましたね。ずっと技術を教えてくれる先生がいたんですけど、なんとか賞を獲って恩返しをしたい一心で頑張りました。良い結果が出て周りもみんな喜んでくれたので、僕も嬉しかったですね」
所属している岩手県板金組合青年部の活動では、ミニ四駆のコースを作ったこともあるそう。地元の産業祭りに出店して、銅板を使った加工の体験会なども行っているのだとか。少しでも金属加工をしている人のことを知ってもらえたらという思いで、様々な活動をしているそうです。
最後に「かべいろは」をご覧になっている、雨漏りや金属系外壁の劣化でお困りのお客さま、そして外壁リフォームや外壁修理を検討しているお客さまにメッセージです。
「自社で材料を加工できるので、ちょっとした不具合ならすぐに修理できる体制が整っています。スピーディーで臨機応変な対応が可能ですよ。うちはベテラン職人もいますし、資格取得を支援したりと若手の育成にも力を入れて、より良い施工ができるよう社員一丸となって仕事にあたっています。新しいことへのチャレンジや、日々勉強を欠かさないというのもモットーですね。完工後は保証書の発行や点検も可能ですし、心配事があればいつでも様子を見に伺います。ぜひお気軽にご相談ください」
取材中「職人さんって、ちょっと怖いと思うお客さまも多いと思うんですよ」と話し始めた粒来さん。「うちの職人はそういうイメージとは違って優しい人ばかりなので、安心して何でも話してほしいですね」と、自社のスタッフについて教えてくれました。粒来さんご自身も物腰が柔らかく、とても話しやすい雰囲気を感じました。
(2024年2月取材)
(2025年7月加筆修正)
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取材後記
有限会社粒来板金工業
外からは見えないこだわり
粒来さんは「見えないところこそ念入りに」の精神で施工にあたっています。外壁が完成してしまえば下地材などは目に見えませんが、そういう箇所こそ、しっかりと材料にこだわり丁寧に施工しているそうです。見えない部分のこだわりが、雨漏りを防ぎ家を長持ちさせることに繋がるのだと教えてくれました。このような考え方の工事店になら、大事な家の施工を安心して任せられると感じました!
社長の仕事への姿勢をリスペクト
現在の社長であるお父さんのすごいところを尋ねると、「いろいろあるけど、新しいことを次々に取り入れてきたのが一番すごいかな」と粒来さん。大きい機械を入れたり新しい工法に早めに挑戦したり、工事店はこうだと決めつけず職人も柔軟な働き方に変えていくなど、お父さんのすごいところは多々ある様子。経験や技術はもちろんのこと、何よりも仕事へ前向きに向き合う姿勢を尊敬しているのだと伝わってきました。
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工事店プロフィール(有限会社粒来板金工業)
| 一番の強み |
創業から65年以上の歴史ある工事店。「見えないところこそ念入りに」をモットーに、経験豊富な職人がヒアリングを元にお客さまに寄り添った施工をしているところ |
| 会社名 |
有限会社粒来板金工業 |
| 対応工事 |
その他塗装
屋根塗装
樋塗装
外構・エクステリア塗装
室内塗装
|
| 従業員数 |
社員:7名 |
| 建設業許可 |
建築工事業、屋根工事業、板金工事業(岩手県知事許可(般―2)第4961号) |
| 保有資格者 |
一級建築板金技能士:5名
二級建築板金技能士:1名
二級建築士:2名
一級建築施工管理技士:1名
二級建築施工管理技士:1名
高所作業車運転者:4名
職長安全衛生責任者:7名
石綿取扱作業従事者:4名
足場の組立て等作業主任者:1名
玉掛作業者:5名
職業訓練指導員:3名 |
| 特徴 |
リフォーム業
外壁工事業 |
| 対応エリア |
東北地方
|
| アフターフォロー体制 |
あいおいニッセイ同和損保のビジネス総合保険制度に加入済です。
何か不具合などございましたら迅速に対応いたします。 |
| 代表者 |
粒来 雄貴 |
| 代表者経歴 |
有限会社粒来板金工業 専務取締役
全国元旦会 所属
三方よしの屋根点検 所属
2008年3月:洋野町立中野中学校 卒業
2008年4月:国立八戸工業高等専門学校 建設環境工学科 入学
2013年3月:国立八戸工業高等専門学校 建設環境工学科 卒業
2013年4月:A商社 入社
2014年11月:A商社 退社
2014年11月:有限会社粒来板金工業 入社
2015年4月:久慈高等職業訓練校 塑性加工科 入学
2017年3月:久慈高等職業訓練校 塑性加工科 卒業
2023年3月:有限会社粒来板金工業 専務取締役 就任 |
| 所在地 |
〒028-7906
岩手県九戸郡洋野町中野11-49-8
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|
| 営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~18:00(冬期17:30) |
| 定休日 |
日曜日、土曜日(月2回)、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
| 備考 |
2019年2月:第41回全国建築板金競技大会 技能競技の部 出場
2020年2月:第42回全国建築板金競技大会 技能競技の部 2位
2022年2月:第44回全国建築板金競技大会 技能競技の部 2位
2023年2月:第45回全国建築板金競技大会 技能競技の部 1位
2024年3月:第46回全国建築板金競技大会 建築技術の部 1位 |
屋根工事の依頼も可能です。有限会社粒来板金工業の「やねいろは」掲載記事はこちら