板金職人ならではの細やかな視点と技術で、水の流れを考慮した外壁工事を
株式会社藤原板金工業
山梨県北杜市須玉町の株式会社藤原板金工業は、金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属系屋根の工事をメインに行う板金工事店です。住宅板金の最大限の目的は排水と考え、排水機能を促す役物づくりに注力。また、長尺板金での施工が得意で美しい仕上がりの外観に定評があります。
工事店の想い
PERSON
板金の現場は工夫の連続。知恵と技術、経験を組み合わせ、美しく丈夫な納めを目指す
株式会社藤原板金工業(以下、藤原板金工業)は山梨県北杜市須玉町にある板金工事店です。金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の工事、雨樋(あまどい)工事を中心に手掛けています。創業は1983年、お話しいただいた代表取締役の藤原誠さん(以下、藤原さん)のお父さんが板金職人として独立開業して始めた工事店です。藤原さんは全く畑違いの職種から家業の板金業へ転身。現在は山梨県板金組合青年部に所属し、仕事にも地域活動にも熱心に取り組んでいます。そんな藤原さんに、家業への想いや今後の展望等についてお話を伺いました。
「僕の子どもの頃ですか?恥ずかしがり屋でおとなしい方だったと思います。あんまり人前で喋るとかは苦手でしたね。ものを作るのが好きで、そのへんに転がっている木で秘密基地のようなものを作って遊んでる子どもだったんです。運動はあまり得意じゃないけど、姉と妹がミニバスケットボールをやっていた影響でバスケットボール部に所属していました」
藤原さんに幼い頃の様子を尋ねると、それまでの明るい対応からは想像がつかない返答でした。家業に入る前に接客業に就いていた経験があり、話し方等はその会社で身に付いたのではないかと話します。
藤原さんが家業の板金工事店を意識しはじめたのは、中学生の時。工場の作業を手伝うようになり、そこで初めてお父さんの仕事がどんなものであるかを知ったそうです。しかし、家族からは家業継承について強いられることはなく、高校卒業後は大学へ進学し、学生生活を楽しみました。
「すごく月並みな理由なんですけど、東京での一人暮らしに憧れて大学進学をしたんです。大好きなバイクを通じて知り合いができて、楽しい学生時代でした。でもこれから就活って時に足のケガをして半年間歩けなくなってしまって。まともに就活ができなかったので、卒業と同時に実家へ戻りバイク屋へ就職したんです。その会社では色んな経験をさせてもらって、特に接客では様々なケースに対応して、相手を理解して要望に寄り添う、そんなスキルが身についた気がします。ただ、結婚を考え始めた時にもう少し収入を伸ばしたいと考えるようになったんです。ちょうどその頃、家業がすごく忙しくなっていたので父に誘われて藤原板金工業に入社しました」
こうして藤原さんは接客業から畑違いの建設業へ転職し、職人修業を開始しました。何より苦労したのは力仕事で、重いものを「つかむ」動きで毎日のように筋肉痛になっていたといいます。長年の現場仕事で鍛えられているお父さんと自分を比較し、とてもかなわないと感じたそうです。
「父は最盛期の頃、くるみが素手で割れるくらい握力が強かったらしいけど、僕はそこまでできません。当時も、もしかしたら今もかな。父を超す体力は手に入らないでしょうね。父は経験値が高く仕事の納めがものすごくうまいです。お客さまとのコミュニケーションにも長けているし、すごいなあと思うことが多々あります」
今後は、職人育成にも尽力していきたいと意欲的。藤原板金工業は長尺板金の扱いが多く、加工には働き手の頭数が必要で人手不足は慢性的な悩みです。藤原さんは若い人に板金業の必要性や面白さを教え、建物が完成するやりがいをうまく伝えられたらと考えています。
「これからも仕事をしていくためには、一緒にやってくれる人を増やしていかないとね。板金の仕事ってとても面白いんですよ。例えば、30メートルの板金を扱う現場。作業は大変ですが、工夫が必要で決して単調な仕事にはならないんです。現場によってやることがいつも違うので、今日はどんな段取りにするかと毎日考えなければいけません。面倒な作業もあるし人それぞれだとは思うんですが、それらを面白がってくれる人が来てくれたらいいですね」
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WORK
森の中の家ならではのトラブルにも対応。動物や気候から家を守るための施工を考える
山梨県北杜市須玉町の藤原板金工業は、金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根を工事する板金工事店です。長尺板金の扱いを得意とし、戸建て住宅から社屋等の大型物件の外装まで幅広く対応しています。
藤原板金工業では、新築工事から外壁リフォームまで様々な外壁工事に対応しています。最近の新築の建物には、立平葺き(※1)の屋根材を外壁に張るデザインが増えてきているそう。藤原さんは長尺板金の扱いに慣れているため、どんなに長い板金でも1枚もので張り付けて美しい外観になるよう努めています。
「屋根材を外壁に設置するデザインは近年増えてきたデザインですね。初めの頃はあまり施工する業者さんがいなくてうちに話が来ましたが、最近は他の板金屋さんもやるようになったと思います。目新しい外観で、わりと人気があるみたいですよ。あと、私は長尺案件が好きなので、7メートルだろうが8メートルだろうがやっぱり1枚で張りたいんです。普通の窯業系サイディングだと最大で4メートル。だから建物の高さが8メートルだと中間に水切りを入れて4メートルを2枚で設置するんですが、うちなら8メートル1枚で継ぎ目なく仕上げます。コーキングも窓まわりにしか使いませんし、とってもきれいになるんです」
実際の外壁リフォーム工事では、木製の外壁にカバー工法(※2)を施した事例が挙がりました。長年の陽当たりで木部が反り、美観が保てなくなっている住宅だったそうです。カバー工法で全てを覆い、外観を美しく仕上げてほしいというご要望でした。
「築20年ほどで、木製の外壁材を使った住宅でした。見た目の改善が第一のご要望だったので反った外壁を平らにするために大工さんに既存の外壁の上に木材で下地を作ってもらい、ガルバリウム鋼板(※3)を張りました。大変なのは、外壁の内側には電気の配線があることです。少しでも釘で線に触れてしまうと漏電や停電の原因になるので打ち抜かないように慎重に作業を進めました。また、外壁の雨漏り原因で多いのは窓まわりのコーキング(※4)の劣化ですね。その場合はコーキング屋さんに直してもらってから、外壁材の設置をします。そして、この地域で住宅工事をする時に気を付けているのは換気口の設置数。空気の循環のためになるべく設置したいんですが、霧が頻繁に起こる地域は換気口が多いと霧が建物内入り込んで中で結露を起こすので、適当な数を見極めることが大切です」
山梨県北杜市周辺の外装工事の特性は、キツツキから家を守るための施工をすること。軒天(※5)や破風板(※6)は多くの場合木製の板で施されていますが、キツツキに穴をつくられるトラブルが後を絶たず、外壁や屋根リフォームの際に全て板金をかぶせてほしいという要望が多いそうです。
「森の中の家は軒天や破風板が木製だとキツツキに穴をあけられてしまうので、板金材を張り付けたいというリクエストが多いんです。穴が開いたまま放置すると、ネズミやハクビシンが建物の中に入り込んで臭いの原因になったりしますから。使う板金はご予算に合わせて用意します。設置場所にぴったり合う加工品の設置もできますし、ちょっと見た目は悪くなるんですが切っただけの板金を打ち付けることもできます。方法は色々あるのでご相談くださいね」
※1 立平葺き・・・縦に長い板金のみで構成された屋根のこと
※2 カバー工法・・・金属屋根の重ね張りをする屋根のリフォーム方法
※3 ガルバリウム鋼板・・・現在板金材料の主流となっているアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板であり、鉄板よりもさびなどに強い
※4 コーキング・・・継ぎ目の隙間を埋める目地材
※5 軒天・・・建物から伸びている、屋根の裏側部分のこと
※6 破風板・・・屋根の見切れ部分の納まり部分
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MESSAGE
役物づくりの目的は住宅を水から守り長持ちさせること。新しい技術・材料も積極的に使う
藤原板金工業のアフターフォローは臨機応変です。完工後の万が一の不具合にはすぐに点検を行っています。
「何かあればすぐに連絡をしてください。特に雨漏り修理後は不安なことが多いと思いますので、気になる不具合があれば何でも相談してくださいね。施工を行ったお客さまには材料の仕様書を資料として渡しているので、工事の記録として今後に役立てていただければと思います」
最後に「かべいろは」をご覧になっている、金属系外壁の劣化でお困りのお客さま、そして外壁リフォームや外壁修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「私は、常に水の流れを考えながら板金加工しています。水が漏れるからって何でもコーキングすれば良いというわけではなく、水が建物の外をうまく流れていく役物の形を考えたいんです。板金職人の強みは、そんな風に必要な材料をお客さまの家にぴったり合う加工でご提供できることだと思います。常に新しい技術を学び、新しい納め方を試しながら『綺麗と安心』を両立できるように仕事をしています。板金工事、何でも気軽にご相談くださいね」
小回りがきく体制であることも藤原板金工業の大きな強みのようでした。藤原さんはお客さまから相談を受けて現場をじっくり点検し、手間をかけて板金加工をします。町の工事店らしい細やかな対応に、信頼感が高まりました。
(2023年10月取材)
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取材後記
株式会社藤原板金工業
一に挨拶、二に挨拶
藤原さんがお客さまに対して気を付けているのは何はなくとも挨拶。仕事の全ては挨拶から始まるという思いを胸に、相手からの返事がなくても自分から声をかけるよう心掛けていると話していました。挨拶をされて無視してしまう人もいますが、大半の方は工事をしている職人さんに屋外で元気良く挨拶をされたら気持ちがいいと思います。社交的な人なら、どんな工事なの?と話しかけてしまいますよね。
「大丈夫だから」で大丈夫
「私の父、よく『これで大丈夫だから』って言うんです」と藤原さん。大丈夫って良い言葉ですよね。職人さんにそう言われたら「ああ、自分の技術は大丈夫なんだな」と感じます。藤原さん自身はお父さんの大らかさとは裏腹に、藤原自身が思う自分技術は父には敵わないと感じていて、他の職人さんの技術を取り入れたり新商品の勉強をしたりと技術磨きに余念がない様子でした。確かな実績と信用があるのに、勉強への姿勢を崩さない謙虚な姿勢の藤原さんは信頼できると感じました。
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工事店プロフィール(株式会社藤原板金工業)
| 一番の強み |
勉強熱心で腕の良い職人たちが、お客さまの意図をくみ、ご要望に添った屋根工事を提案・施工をおこなっているところ |
| 会社名 |
株式会社藤原板金工業 |
| 対応工事 |
その他塗装
屋根塗装
樋塗装
外構・エクステリア塗装
室内塗装
|
| 従業員数 |
社員:5名 |
| 保有資格者 |
一級建築板金技能士:1名
二級建築板金技能士:1名 |
| 特徴 |
リフォーム業
外壁工事業
|
| 対応エリア |
中部地方
|
| アフターフォロー体制 |
何か不具合などございましたら、迅速に対応いたします。 |
| 代表者 |
藤原 誠 |
| 代表者経歴 |
株式会社藤原板金工業 代表取締役
2002年4月:帝京第三高等学校 入学
2005年3月:帝京第三高等学校 卒業
2005年4月:帝京大学経済学部 入学
2009年3月:帝京大学経済学部 卒業
2009年4月:株式会社2りんかんイエローハット 入社
2011年8月:株式会社2りんかんイエローハット 退社
2011年9月:藤原板金工業 入社
2024年4月:株式会社藤原板金工業 設立 代表取締役 就任 |
| 所在地 |
〒407-0321
山梨県北杜市須玉町上津金422
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| 営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~17:00 |
| 定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
屋根工事の依頼も可能です。株式会社藤原板金工業の「やねいろは」掲載記事はこちら