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難しい外壁工事は仕上がりから逆算の思考。できない工事を「できる」へ変換
小田板金
三重県
三重県板金工業組合
小田板金
三重県鈴鹿市下箕田の小田板金は金属系外壁（ガルバリウム鋼板外壁）や金属屋根、雨樋工事等の施工を中心に行う板金工事店です。代表は建設に関する各種資格を多数保有し、さらに職業訓練校での指導を行うほどの技術と経験を持っています。
工事店の想い
PERSON すぐに辞めるかもと考えていた修業時代。仕事が面白くなったのは、良い人間関係のおかげ
小田板金は小田さんのお父さんが開業した工事店です。小田さんはお父さんの働く姿を見て育ち、高校卒業後すぐに小田板金にて職人修業を始めました。自分を「意思のない子どもだった」と笑う小田さんに、仕事への想いやこれからの展望、たくさんのお話を伺いました。
「子どもの頃は自分の知らない世界と接するのがすごく怖くてね。信頼している仲間とはすごく会話もするし遊びに行ったりもするんですけど。高校生の時までそんな感じでした」
ご自身のことをこう話す小田さんですが、取材中の明るい話し方からは想像できません。工業高校に進学したのは？そして卒業後すぐに小田板金に入社したのはなぜですか？という質問にも「僕らくらいの年代は、親が大工や板金屋だと『工業高校の建築科へ行け！』『職人になれ！』とぶわーっと言われて育つんです。そこから外れるなら他の仕事を見つけて働く、それしかなかったんですよね」と、あっけらかんと答え、場を和ませてくれました。
小田さんは吹奏楽部でドラム演奏に励んだり、ギターを覚えて路上ライブ活動をしたりと、音楽に親しんだ高校生活を送りました。作詞作曲やミキシング等もたしなみ、将来は東京へ出てスタジオで働くレコーディングエンジニアになりたかったそうです。しかし、お父さんからの反対や幼い頃からの生活環境が家業を継ぐ方へと向かっていたため、それは叶いませんでした。
「家業を継いだというと聞こえは良いですが、『他にすることがなかった』というのが正しいかな。ひょっとしたら数か月で辞めるかも、くらいの気持ちで初めは働いたんですよ。そんなスタートだったのに今でも続いている。なんでしょうかね、これは」
高校生が親に夢のための上京を反対され、家業へ。これだけを聞くと悲観的ですが、小田さんは底抜けに明るく、現在は仕事を楽しんでいる様子です。小田さんが職人修業を始めた１９８０年代はバブル景気の真っ只中。小田板金だけではなく日本全体に活気があり、建設業は仕事が絶えない状態でした。高校を卒業したばかりの小田さんに仕事を選り好みする暇はなく、気が付けば４０年が経過していたそう。この仕事が長く続けられた理由は？という質問に、小田さんはこう答えました。
「板金組合での横の繋がりが大きいですね。組合には、友人と呼べる４０年来の付き合いがある人もいるんです。そして全国組織の役員をやらせてもらって人間関係にすごく恵まれたし、勉強もさせてもらいました。お客さまへの接し方や仕事のやり方は一朝一夕で身に付けたわけではなく、組合メンバーと討論する中で習得したものなんですよ」
建設業に必要な資格を豊富に取得している小田さん。今後も新たな資格取得試験に挑戦したいと意欲的でした。工事店としての展望について、仕事の規模を大きくせずに小田さんの目が届く範囲を守り、内容の濃い仕事をしていきたいと語っていました。
WORK お客さまとじっくり話す現地調査。丁寧な点検と説明で、過不足ない見積りを提出
小田さんが出す見積りは大抵２つか３つで、価格の高いものと安いもの、中間のもの、松竹梅の感覚で出すようにしているそうです。使う材料や工法を細かく分けて何パターンも出すのは双方に手間がかかる事態になりかねないため、なるべく避けるようにしています。
「見積もりを作る前段階で現地調査をしたり、どういった工事が必要かをじっくり話すと２時間ほどかかります。その打ち合わせの中で１番高い工事はこれ、安いのはこれ、真ん中へんだとこれ、と概要を説明するんです。そうするとお客さまがご予算に合わせて選んでくださるので、それを持ち帰ってそこから２パターンを作ります。多く提示しても混乱してしまいますから、工事を絞って納得された段階で見積りを送るのが、僕の考え方です」
実際の外壁工事の事例では、酒蔵の外壁メンテナンスが上がりました。波形スレートの上から板金をカバー工法（※１）で張って欲しいという依頼でしたが、施工後にショールームとして使いたいという要望もあり、単純に張るだけの工事ではなかったそうです。
「カバー工法の依頼は通常なら張れば終わるんですが、サッシを入れ替えたり、開閉できないフィックス窓を新規で取り付けたりしたため骨組みが複雑になってしまったんです。どうしたら張れるかと考えながら下地を施工しました。金属下地を設置する場所も、金属、鉄、木と様々で、それに合わせた取り付けをするというだけなら簡単なんですが、最終的に外壁材を張るときは仕上がりが均一になっていないといけないので大変でした。外壁リフォームは施工マニュアルにない答えを見つけなければいけないパターンが多いですね」
外壁の雨漏りの原因は、窯業系サイディング（※２）のシーリング（※３）の劣化による切れ、ベランダのはき出しサッシの周辺の劣化によるものが多いそうです。はき出し窓はベランダの床から１５センチメートルほどの高さがあるものが多く、その高さが雨漏りを起こす原因になりやすいと小田さんはいいます。
「ベランダ床から１５センチメートル。この高さは雨が床に落ちて跳ね返ると、ちょうどサッシに当たる高さなんです。普段は何ともないのに台風の強い雨の時だけ雨漏りするというケースは、これが原因になっているかもしれませんね。基本的にはシーリングの打ち換えで対応しています」
三重県鈴鹿市の外壁工事の特性を尋ねました。三重県は南北に長く、地域によって天候に違いがあるため施工の際には注意が必要とのことです。また、海側と山側では台風の被害に差があります。伊勢湾の辺りは台風被害が顕著な地域で、天候や地形等の複雑な条件が混在しているのも特徴だといいます。
「小田板金があるのは三重県内でも北勢地区と言われていて、ここより北側だと積雪があります。でも南下して伊勢神宮のある地域だと雪は滅多に降らないですね。北と南、そして海と山、温暖な地域でありながらも雪の心配をしないといけない地域なんですよ。海側は当然、潮風による錆（さび）対策が必要なんですが、最近の金属系ガルバリウム鋼板（※４）はとても高品質で錆に強く安心ですね。天候にも差があって、僕たちのいる場所で雨が降っているから今日は休みだなと思っても、お客さまの住む地域では晴れていたりするので、最近はスマホで雨雲をチェックしています」
※１ カバー工法・・・金属屋根の重ね張りをする屋根のリフォーム方法
※２ サイディング・・・セメント製や金属製の外壁材
※３ シーリング・・・継ぎ目の隙間を埋める目地材
※４ ガルバリウム鋼板・・・現在板金材料の主流となっているアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板であり、鉄板よりもさびなどに強い
MESSAGE 他社が難色を示す工事もご相談を。難しい修理の解決の糸口をお客さまと共に考えたい
「完工の引き渡しの際、気になることは何でも聞いてくださいね。完成した時の仕上がり報告はもちろん行いますが、ただ、僕は施工途中のプロセスを見ていただく方が大切だと考えているんです。新しい外壁材を張ってしまうと、もう中は見れませんからね。今日はここまでやりました、こういう材料を使って工事するので後々安心ですよと、そういったことを伝えながら工事をしています」
最後に「かべいろは」をご覧になっている、金属系外壁の劣化や雨漏りでお困りのお客さま、そして外壁リフォームや外壁修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「他の工事店さんに断られた工事でも、小田板金に相談してください。お客さまがどうしたいのかをしっかり聞き、それに合う工事方法を色々考えます。解決の糸口をお客さまと一緒に探るので、こんな工事はできるかなと思ったらとりあえず声をかけてくださいね。お問い合わせお待ちしております」
どんな難工事にも立ち向かう気概がある小田さん。仕上がりをイメージし、そこへ近づけるにはどうしたいいか？と、逆算して工程を考えるそうです。お客さまの中には「家の不具合はまず小田さんに連絡をする」という家庭内ルールを持っている方もいらっしゃるとのこと。揺るぎない技術を持つ職人の存在感を目の当たりにした取材でした。
（２０２４年１月取材）
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取材後記
小田板金
いただいた言葉は忘れない
「仕事は覚えようとしなかったし、訓練校での授業も何ひとつ覚えていない」と愉快そうに語る小田さんですが、先生や先輩職人の言葉を仕事をするようになって思い出し、それが身に染みているといいます。今も気に入って使うのが「目が痛い」という言葉。これは「仕事の仕上がりが悪い」という意味だそう。職人に必要なのは客観的な目。独りよがりでは、自分の仕事のあらは探せないものです。自分の仕事に客観性が持てるようになった時、職人は一人前になるのかもしれませんね。
仕事の基本は父の教えから
小田板金の基本姿勢「できないこと以外は全部できる」は、小田さんが先代であるお父さんから引き継いだ前向きな考え方です。パソコンやスマホ導入で事務仕事は変わったものの、現場での仕事への向き合い方は創業当時から一貫しているとのこと。そして取材をして体感したのが、小田さん自身のエネルギーです。こちらの質問に楽しく返そうという姿勢、そして数々の資格取得へのバイタリティー、大事な家を任せる職人としての資質を全て持っているような人でした。
外壁修理・外壁リフォーム事例（小田板金）2件
外壁工事のクチコミ評価（小田板金）1件
総合評価
4.46
| コミュニケーション |
4.48
|
|---|---|
| 工事の技術 |
4.48
|
| アフターフォロー |
4.80
|
| 提案力 |
4.46
|
| 価格の満足度 |
4.21
|
| マナーの良さ |
4.32
|
| 清潔感 |
4.45
|
新着クチコミ
4.46
ユーザーからのコメント
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工事店プロフィール（小田板金）
| 一番の強み | 多くの資格を取得し知識も経験も豊富な代表が、お客さまの悩み事に一緒に解決の糸口を見つけ出し、最後まで責任を持って対応してくれるところ |
|---|---|
| 会社名 | 小田板金 |
| 対応工事 |
外壁塗装
外壁張り替え(カバー)
外壁修理
その他塗装
屋根塗装
樋塗装
外構・エクステリア塗装
室内塗装
|
| 従業員数 | 社員：１名 |
| 保有資格者 | 一級建築板金技能士：１名 二級建築施工管理技士：１名 建設マスター（板金工）：１名 鉛作業主任者：１名 巻上げ機運転者：１名 丸のこ等取扱従事者：１名 研削砥石の取替え等の業務に係る特別教育：１名 高所作業車運転者：１名 職長安全衛生責任者：１名 石綿取扱作業従事者：１名 足場の組立て等作業主任者：１名 玉掛作業者：１名 ものづくりマイスター（建築板金）：１名 職業訓練指導員：１名 建設キャリアアップシステム技能者：１名 登録建築板金基幹技能者：１名 ガス溶接技能者：１名 アーク溶接特別教育修了者：１名 フルハーネス型墜落制止用器具特別教育修了者：１名 二等無人航空機操縦士（ドローン）：１名 |
| 特徴 | リフォーム業 外壁工事業 左官工事業 |
| 対応エリア |
近畿地方 |
| アフターフォロー体制 | あいおいニッセイ同和損保の第三者賠償責任保険に加入済です。 施工内容により全板連型責任施工保証書を発行します。 またご連絡頂きましたら、迅速に対応させて頂きます。 |
| 代表者 | 小田 由紀文 |
| 代表者経歴 | 小田板金 代表 日本建築板金協会 所属 三重県板金職業訓練協会 所属 全日本屋根雨漏り技術技能協会 所属 東海ドローン協会 所属 三重県板金高等職業訓練校 校長 １９８０年３月：四日市市立朝明中学校 卒業 １９８０年４月：三重県立四日市工業高等学校 建築科 入学 １９８３年３月：三重県立四日市工業高等学校 建築科 卒業 １９８３年４月：小田板金 入社 １９８３年４月：三重県板金高等職業訓練校 塑性加工科 入学 １９８５年３月：三重県板金高等職業訓練校 塑性加工科 卒業 ２０１９年８月：小田板金 代表 就任 |
| 所在地 |
〒513-0052 三重県鈴鹿市下箕田４－２７－３０ 大きな地図で見る |
| 営業時間 | 毎週月～土曜日 ８：３０～１７：００ |
| 定休日 | 日曜日、祝日、年末年始休業、大型連休（ゴールデンウィーク）、夏季休業（お盆休み） |
| 備考 | １９８９年２月：第11回全板連青年部 全国技能競技大会 入賞 １９９０年１２月：三重県技能競技大会（一級内外装板金の部） 知事賞 １９９４年２月：第4回日板協青年部 全国建築技術コンクール 3位 １９９６年２月：第18回全国建築板金競技大会 建築技術の部 6位 ２０２３年11月：優秀施工者国土交通大臣顕彰 受賞 |
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