チームワーク×技術力を生かしたプロの外壁工事で、経年劣化から住宅を守る
有限会社吉倉板金工業所
新潟県新潟市西区田島の有限会社吉倉板金工業所は、金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の外装工事をメインに、厨房のステンレス工事等の内装の板金工事にも対応しています。多様な技術を持った職人の対応力と地域密着ならではの信用度を誇る頼もしい会社です。
工事店の想い
PERSON
型枠大工を経て板金職人に。同じ建設業でも、板金の多岐にわたる細やかな技術に苦労した
有限会社吉倉板金工業所(以下、吉倉板金工業所)は新潟県新潟市西区田島にある板金工事店です。代表取締役の吉倉進吾さん(以下、吉倉さん)のおじいさんが第二次大戦後にシベリアで板金技術を身に付け、帰国後にさらに板金工事店で腕を磨いてから開業したのが吉倉板金工業所の始まりだそう。長く続く工事店を引き継いだ吉倉さんの仕事への想いを伺いました。
吉倉板金工業所の創業は1966年。吉倉さんのおじいさんが開業し、二代目に吉倉さんのおじさん、そして三代目に吉倉さん。吉倉さんのお父さんも専務として、そして職人として従事しており家族一丸となって板金業を切り盛りしてきました。
「祖父にとって私は孫なので、自分の前で怒ったり怒鳴ったりという姿は見たことがありません。でも、地元で聞くところによると短気な人だったようなんです。働いていた板金店から独立したのも、そのせいじゃないかと思うんですよ。家業を継ぐってことに関しては、おじや父からは何も言われていないんですが、祖父からは『継いでほしい』的なことを言われた記憶があります。決して強制されたわけではないけど、それがずっと頭にあったのは事実ですね。20歳の時に型枠大工を辞めて板金をやろうと決めたのは、祖父からの影響があった気がします」
創業者のおじいさんについて尋ねたところ、懐かしそうにこう話してくれた吉倉さん。高校卒業後に型枠大工として建築会社で働いた経験があり、その後、家業へ入社し板金職人の修業を始めました。体を動かすことが好きで、若い頃から屋外仕事は全く苦にならなかったそうです。
「暑い日に汗をかいて体を動かしていると、自己満足ながらも『仕事してるな!』みたいな感覚になります。昔から高いところも好きで、屋根の上も全然怖いとは思いませんでした。けど、型枠大工よりも板金職人の方が仕事の幅が広くて覚えるのに苦労しました。ひとつの作業を毎日反復できるわけではなく、再び同じ作業ができるのが2、3年後なんてことも起こるんです。全ての技術を身に付けるのが大変だったけど、同じ作業の繰り返しではないので、その分飽きずにできる面白みはありましたね」
吉倉さんは20歳で家業へ入る決意をして、20年以上板金職人として働いてきました。すでに熟練の風格ですが、入社した時は覚えることの多さ、そして仕事の細かさに苦労したといいます。吉倉さんに仕事を教えてくれた先輩職人は非常に繊細な仕事をする人で、仕上がりにはミリ単位のこだわりを持っていたそう。
「すごく仕事に厳しい先輩でした。板金加工や設置は少しのズレが雨漏りなんかの不具合に直結する繊細な仕事なんですよ。先輩は常に1ミリ2ミリを気にする人でやり直しを指示されるのが日常茶飯事でね。当時の私は『こんな細かいことまで誰が見るんだよ』と思ったものですが、今思えば彼に仕事を教わって良かったです」
吉倉板金工業所には絶え間なく仕事が舞い込んでいる様子です。今後はスタッフを増員して受注の幅を広げていきたい構想がありますが、なかなか職人見習いを希望する若い人が見つからないと吉倉さんは話します。
「近隣の学校やハローワークに求人票を出していますが、なかなか難しいですね。うちは私も専務も職人なので教える体制は整っています。作業着や道具も全て支給するので昼食だけ持ってきてくれたら何の用意がなくても働けるので、板金業という奥深く繊細な仕事に興味があったらぜひ来てみてと思っています」
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WORK
プラスアルファのアドバイスで、より安心して暮らせる住まいへ
新潟県新潟市西区田島の吉倉板金工業所は、金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)や金属屋根の工事をメインに雨樋工事や内装ステンレス工事等も行っている会社です。板金工事以外の経験を積んだ職人がいるため、外壁や屋根の他にも幅広い住宅工事の相談に乗っています。
お客さまとの打ち合わせは、吉倉さんが中心となって行います。住宅工事で大切なのはお客さまの家に対する気持ちや工事への要望をしっかりくみ取ること。重要なのは耐用年数なのか、それとも美観なのか、工事への希望もヒアリングして家に適した施工を考えます。
吉倉さんは、お客さまの希望以上の仕上がりにするために気を付けていることがあります。ご要望の工事を全うするのはもちろん、プロ目線でのプラスアルファのアドバイスも心掛けているそうです。
「もしここを直すのであれば、こちらもついでにやっておいた方がいいですよとか、お客さまが思う以上に綺麗な仕上がりになると判断した時は、そんなアドバイスもさりげなくしています。もちろん、お客さまのご都合もあるので条件をすり合わせて家にとって適した施工をするのが何よりです」
吉倉板金工業所が手掛ける外壁工事はリフォーム工事が多く、中でも窯業系サイディングの上から新しい金属系サイディング(※1)を張るカバー工法(※2)の実績が数多くあります。窯業系サイディングは経年劣化で表面が毛羽立ちのような状態になり、その状態を過ぎると穴が開く恐れがあるそうです。
「先日カバー工法した家は築40年近い建物でした。数年前のメンテナンスで塗装をしたようなんですが、塗料とサイディングの相性があるので簡単な工事ではないんですよね。塗ると逆に表面を傷めてしまう相性の悪い塗料もあるので、塗装する際は塗装屋さんにしっかり吟味してもらわないといけません。その塗装メンテナンスが原因かどうかわからないですが、結構表面がボロボロになっていたのでカバー工法を提案したんです。ここで苦労したのは隣の家と近かったこと。足場を組んだんですけど、人が1人通れない幅になってしまってね。縦に長く大きな建物だったんですが、入口がせまくて作業にすごく時間がかかりました。その時は足場の一部をお隣の屋根にかけさせてもらったんです。ご迷惑をおかけしてしまうこともあるので、ご近所へのご挨拶等は本当に大事ですね」
外壁のカバー工法は、屋根と違いサッシ等の開口部に配慮しなければいけません。カバーで外壁材を張るとサッシ部分と外壁の厚みに差が生じるため、見切りの役物(※3)を使って段差の解消に努めます。
「外壁のカバー工法は、サッシやドアまわりの開口部分全てに見切り材という小口をカバーする役物を設置してから外壁材を重ねていきます。カバーで外壁材を張ると、窓の部分と外壁の部分に厚みの差が出てしまうんです。その段差を解消して見た目をすっきりさせるために見切りの役物を使います。あとは金属系サイディングの断面は断熱のための発泡スチロールが見えるので、それを隠すための役割もありますね」
カバー工法の他、外壁材の全てを一新する張り替え工事ももちろん対応しています。全体的な外壁の張り替え工事は一般住宅よりも工場等の大き目の建物が多いそうです。先日は、木造と鉄筋構造が混ざった建物の張り替えを担当しました。
「木造の建物にあとから鉄骨で増築したような感じの建物でした。鉄骨部分の角波材はビス留め、木造部分は釘打ちになっている状態だったので、構造に合わせて張り替えを行いました。鉄骨の建物に貼ってある角波にはメンテナンスで塗装されている場合が多くて、経年劣化でビスが錆びていることがあるんです。そうなるとビスが回らなくて古い角波を剥がすのに難航します。サンダー(※4)で削ってビスの頭を飛ばしたりしてね」
また、雨漏りの相談も数多く寄せられる相談です。外壁の雨漏りはサッシまわりの劣化による不具合が原因になっている場合が多く、現地調査ではサッシまわり等の見切りの役物を使っている部分を重点的に点検します。
「サッシまわりの修理はぐるっと板金をかぶせて補修したり、コーキング処理(※5)をしたりして様子を見ます。あとは建物の中間や1階と2階の間に設置されている金属板の中間水切りとかからの雨漏りもありますね。外壁材が縦張りの場合は途中に入っている水切り(※6)が原因になっていることもあるかな。その水切りの下から雨風が吹き込む状態になっていると雨漏りすることもあるので、そんな時は隙間を埋める補修をします。雨漏りの原因解明は、建物によっては本当に難しい作業なんです。どっからきてるんだ?と難航することもあるんですが、でも必ず水が流れる道があるのでそれを根気強く探ります」
※1 サイディング・・・セメント製や金属製の外壁材
※2 カバー工法・・・金属屋根の重ね張りをする屋根のリフォーム方法
※3 役物・・・端部やコーナーの固定など、特殊の用途/場所に使用される特殊な形状の部材
※4 サンダー・・・木材を中心とした研磨や、塗装はがし、錆び落とし等に使用される工具
※5 コーキング・・・サッシ周りなどの目地や隙間に、雨や汚れが浸入しないように充填する材料
※6 水切り・・・水が一部分に溜まらないようにするための金属板
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MESSAGE
チームワークの良さが親族経営の強み。同業ネットワークの広さも活かして施工をご提案
新潟県新潟市西区の金属系外壁工事の特性について尋ねました。新潟市は県内でも積雪が少ないため、比較的住宅工事がしやすい地域だといいます。ただ、海沿いの土地では板金の建材に強風や潮風の影響があるため対策が欠かせません。
「このあたりは新潟県内でも雪が少ない地域です。なので、雨樋の取付金具のピッチは標準より少し多めにするくらいで、雪止め金具の数も積雪の多い地域に比べると少ないですね。ただ、海が近くて風が強いので、風で飛ばされないように建材を細かく留める対策はとっています。外壁材を張る時も、風に向かって抜けていく方向を考えて重ねていくんです。潮風に対する錆対策は、ビスを錆に強いものにしたりしますが、ガルバリウム鋼板とステンレスは相性があまりよくなくて電食(※7)を起こすので、材料は慎重に選定しないといけませんね。海沿いでステンレスビスを使う時の対応策もあるんですよ。でもそれは費用が当然かさみます。そのあたりはお客さまと相談して、美観や耐用年数に対する考えに基づいて決めていただいています」
アフターフォローについては、とても柔軟な対応をとっています。完工後、万が一お客さまが不具合を発見した場合はすぐにお知らせくださいとのことです。
「工事が終わってからでも、何かあったら遠慮なく電話をしてください。迅速に対応いたします。今後は、施工前後の写真を資料にしてお渡しできたらと考えています。材料一覧とかの資料があればその後のメンテナンスの際に役に立つかもしれません。完成してきれいになると以前のことってすぐに忘れてしまいますから、形にしてお手元に置いてもらえるようにしているんです」
最後に「かべいろは」をご覧になっている、雨漏りや金属系外壁(ガルバリウム鋼板外壁)の劣化でお困りのお客さま、そして外壁リフォームや外壁修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「家族と親戚でやっている会社なので、チームワークがとても良いです。ここ新潟市で長く住宅工事に携わってきたので、板金工事に限らず住宅のお悩み等を解決できるネットワークも持っています。なので、何かありましたら気軽に何でも相談してもらえたら嬉しいですね。住宅工事って何をするかわからないことばかりだと思うんです。どんな施工をするのか、外壁の内側はどんな状態になっているのか、不安や疑問があれば写真や資料を用意してご説明いたしますので、質問は何でもしてくださいね。会社のスタッフには元瓦職人がいたり、私も元は型枠大工として住宅工事に関わっていたりで、板金工事以外の知識や経験が集まった上で仕事をしてきました。このことも吉倉板金工業所の大きな強みだと思っています。お問い合わせお待ちしております」
新潟県新潟市西区田島で半世紀以上、板金業を営んできました。若い会社がそう簡単には得られない歴史と実績を吉倉板金工業所は持っています。これからは新人育成にも注力し新しい風を吹き込みたいとのこと。家族経営でやってきたきずなの強さに若い人のエネルギーと新しい考え方が加われば、こんなに頼もしいことはありません。地域の工事店として残すべきものをたくさん持っている会社だと感じた取材でした。
※7 電食・・・異なる種類の金属が接合することで電流が発生し腐食すること
(2023年6月取材)
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取材後記
有限会社吉倉板金工業所
経験を全て糧に
吉倉さんの話を聞き、板金職人は経験を全て蓄積しないと務まらないのだとわかりました。仕事の幅が広く一人前になるまでに時間がかかること、雨漏り原因を探るためにはそれまでの経験と知識を総動員すること、どんな仕事にも言えることではありますが、板金職人は個人の努力と積み重ねが顕著に表れる仕事だと感じました。家は個人の持ち物としてとても大きくて高価なものです。その大事な家を預けるなら、職人吉倉さんを心からおすすめしたいと感じました!
毎日が発見、そして勉強
今回吉倉さんを取材して感じたのは、腕の立つベテラン職人でありながら、とても謙虚な人だなということ。この年齢になっても毎日新しい発見があり、経験が磨かれていくと話している様子を見て、板金職人の仕事の奥行きの深さがどれほどのものなのかと驚きました。そこには仕事そのものが多岐にわたるものでありながら、当然、吉倉さん自身の好奇心や気質も関係しているのでしょう。わくわくしながら仕事をする毎日、それはとても素敵なことだと感じました。
職人を信じて任せる
吉倉さんは職人であり経営者です。現場の仕事に関しては「手を掛けたらもっと良くなる」という職人魂と「工期やお客さまの予算を考えるとそこまで手を掛けられない」という経営側の目線が葛藤するそう。そんな時は、雨漏りしない屋根のために絶対に外せない工程を指示して、あとは職人たちを信じて現場へ送り出すといいます。仕事に対するスタンスの苦しさを正直に話す吉倉さんに、とても強い信頼感を抱きました。
課題は、人材育成!
建設業界の人手不足は慢性的な問題です。吉倉さんも「若い人を育てていきたい」と取材中に何度かこぼしていました。若い職人が増えないけれど、すでに建てられた家の経年劣化は進みます。仕事がさばき切れずに待ってもらう状態になっていると吉倉さんは心苦しそうに話していました。吉倉板金工業所はベテランが揃っていて教える体制もできているそう!腕に技術、そしてやりがい。体力に自信のある若者を呼ぶにはどうしたらいいのか?そんなことを考えた取材となりました。
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工事店プロフィール(有限会社吉倉板金工業所)
| 一番の強み |
半世紀以上続く工事店の経験値を引き継いでいて、お客さまのご要望と、地域に合った施工と建物に適した施工をすり合わせて最適なプランを提供できるところ |
| 会社名 |
有限会社吉倉板金工業所 |
| 対応工事 |
その他塗装
屋根塗装
樋塗装
外構・エクステリア塗装
室内塗装
|
| 従業員数 |
社員:7名 |
| 建設業許可 |
板金工事業(新潟県知事許可(般―3)第23907号) |
| 保有資格者 |
一級建築板金技能士:5名
丸のこ等取扱従事者:1名
高所作業車運転者:1名
職長安全衛生責任者:1名
石綿取扱作業従事者:1名
玉掛作業者:3名
職業訓練指導員:2名
窯業系サイディング施工士:3名
建設キャリアアップシステム登録者:1名
ガス溶接作業者:2名
アーク溶接作業者:3名 |
| 特徴 |
リフォーム業
外壁工事業 |
| 対応エリア |
中部地方
|
| アフターフォロー体制 |
東京海上日動火災保険株式会社の第三者賠償責任保険に加入済です。
ご不明な点がありましたらお気軽にお電話ください。 |
| 代表者 |
吉倉 進吾 |
| 代表者経歴 |
有限会社吉倉板金工業所 代表取締役
新潟西商工会 所属
1997年3月:新潟市立中野小屋中学校 卒業
1997年4月:新潟県立新潟工業高等学校 入学
2000年3月:新潟県立新潟工業高等学校 卒業
2000年4月:株式会社平原工業 入社
2001年12月:株式会社平原工業 退社
2002年1月:有限会社吉倉板金工業所 入社
2020年3月:有限会社吉倉板金工業所 代表取締役 就任 |
| 所在地 |
〒950-2145
新潟県新潟市西区田島200-1
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|
| 営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~18:00 |
| 定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
屋根工事の依頼も可能です。有限会社吉倉板金工業所の「やねいろは」掲載記事はこちら