株式会社大和建装（以下、大和建装）は、岡山県総社市東阿曽に拠点を構える住宅塗装店です。外壁塗装や屋根塗装を中心に住宅塗装全般が可能。お客さまからの要望があれば、トイレなどの水まわりの取り付け、網戸の取り換えも行っています。住宅のお悩みに懐深く応えてくれる頼もしい会社です。

「子どもの頃、親にマウンテンバイクをねだったけど買ってもらえず、自分の自転車にスプレー塗料をかけてカッコ良くしようとしたんです。思い返せば私の塗装人生はそれが原点かもしれませんね」と、幼少期を振り返る大和建装代表取締役の木幡大和さん（以下、木幡さん）。

木幡さんは親の仕事の都合で転居が多く、岡山に落ち着いたのが小学校低学年の頃。緑の多い地域で育ち、放課後の外遊びには自転車が必須で友人の間で流行ったマウンテンバイクに強い憧れがあったそうです。山へテントを張ったり秘密基地を作ったり、とにかくワクワクする毎日を送っていました。

そして中学三年を迎え、進路を決定する時期がやってきます。それまで勉強にはさほど興味がなく、ほどほどに過ごしていた中学生生活でしたが、憧れだった電気科のある工業高校を目標に据えてから人が変わったように勉強に励むようになり、みるみるうちに成績が上がっていったそうです。
しかし、努力は実らず残念ながら工業高校は不合格。木幡さんはしばらく目標が見つからないまま、日々を過ごしていました。
「これからどうしようかと考えている時に、頼ったのが職安でした。自分ができる仕事を必死に探してふと目についたのが『塗装工事店』だったんです」

なぜ塗装業を選んだのか、はっきりとは覚えていないという木幡さん。しかし手に職を付けたい、いつかは一人前の職業人になりたいという思いがあったのではないかと言います。
そうして塗装職人として経験を積み、２００６年に念願の開業。大和建装の前身となる大和塗装を１人で立ち上げました。

木幡さんが自分の工事店を構え、何よりもこだわったのは整理整頓です。現場はもちろん、自分で使う塗料倉庫でも何がどこにあるかひとめ見てわかる片付け方をしています。
「私の父がきれい好きだったので、幼い頃から片付けは厳しく躾けられました。他社での修行中、現場や車の中が汚くてちょっとうんざりしたこともあるんです。自分はそうならないようにしたいと常々思っていたので、これでもかってくらい整頓しています。あと、お客さまとしてもあまりに汚い車の職人よりキレイな車の職人の方が安心なんじゃないかって思うんですよね」

やがて２０１５年、これからは建設業界への知見を深め、もっと大きな仕事ができるようになりたいという想いから、株式会社大和建装として再スタートを切りました。
「今はインターネットで塗装に関する情報が簡単に手に入ります。お客さまの中には、断片的ではあるんですが、かなりの知識を持っていらっしゃる方もいるんです。具体的な塗料の名前まで上がるので、びっくりします。その断片的な知識を繋ぎ合わせて、家の劣化具合にぴったりな塗装プランを作るのが私たちの仕事なので、こちらもますます勉強しないといけませんね」

岡山県総社市東阿曽の大和建装は、外装リフォーム・修理に伴う外壁塗装・屋根塗装を中心に行う塗装工事店です。雨漏りなど急を要する工事にも対応できるよう、応急措置ができる資材も車に常備しています。

大和建装の強みは、小さな外壁修理から大規模な外壁リフォームまで迅速な対応ができること。塗装以外でも、鍵の締めが悪い、戸の立て付けが悪いなど、家の中の不具合にもすぐに駆け付けるとのことです。
「どんな時でもさっと出掛けられるように、道具の管理と整理整頓には目を光らせています。自分の道具を大切にできる職人は、お客さまの家を大切に扱えるものです。だから私は、道具の扱いを決してないがしろにしません」

また、道具だけではなく、木幡さんはお客さまに対しても心に留めていることがあります。それは、打ち合わせの説明で使う言葉。相手はプロではないと念頭に置き、誰にでもわかりやすい言葉で話を進めていきます。
「口頭での説明の他、実際に塗装面を見てもらう時間を設けています。例えば、１度塗りの面と３度塗りの面を目で見て手で触って比較してもらうんです。そうするとお客さまには一目瞭然で、私たちがどんな仕事をしているか理解し安心してくださいます」

木幡さんは「塗装はモノを保護するための作業」だと言います。単に塗るだけなら素人でもできますが、そこに美しさと機能性をプラスできるのが木幡さんたち大和建装の職人なのです。
「本塗装前に外壁の不具合は徹底的に修理します。せっかくの塗り替えですから、できる限りきれいにして差し上げたいんです。金属系サイディングがへこんでいたり外壁のしっくいが落ちていたりしたら、足場があるうちに直した方が、職人もやりやすいし何よりお客さまの費用負担も減りますから」

これまで対処した外壁の雨漏り原因で多かったのは、サイディングパネルの隙間を埋めているコーキング剤の劣化です。
「経年劣化した外壁は、台風による横殴りの雨と夏のゲリラ豪雨が怖いですね。予想を上回る雨量がコーキングの劣化をかいくぐって外壁の内部に侵入するので、思わぬ場所で水漏れを起こす場合があります。実は、雨漏り修理自体はそんなに難しいものではありません。難しいのは原因の解明なんです。水の流れはこれまでのちょっとした修理の具合で変わります。そこを見極めるのが本当に難しいですね」

岡山県総社市東阿曽の辺りの気候は四季を通じて温暖で温かく、外壁塗装や外壁修理に特殊な工法は必要ありません。ただ、降雨によりせっかくの塗装面に養生テープの跡が残る恐れがあるので、梅雨や台風の多い季節には工程に慎重になります。また、冬場の朝は霜が下り塗装面の乾燥に影響するので、作業は昼前から午後３時頃に限定して行う現場もあるそうです。

「完工後、何か不具合が見つかったら遠慮なく連絡を。すぐに対応致します」と、大和建装はアフターフォローも迅速です。
「とにかく早くお伺いできるように、車に応急措置のための工具や資材を常に乗せています。緊急の場合はその旨お伝えくださいね」

最後に「かべいろは」をご覧になっている、外壁塗装の劣化でお困りのお客さま、そして外壁リフォームや外壁修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「私は、建物を人間になぞらえてお客さまに説明することがあります。屋根は頭、窓は目、躯体は足。屋根は建物を守るとても大切な場所、てっぺんには無いですけど外壁も屋根と同様ご家族の暮らしを守る大切な場所です。家を長持ちさせるためにはメンテナンスが不可欠。何か心配なことがあればすぐにプロに相談した方がいいですよ」

木幡さんはお客さまからの「今は予算がないけれど、いずれは違う場所もきれいに塗装したい」という相談も大歓迎だと言います。それは、数年後にご希望の塗装がしやすいようにするのも職人の務めだと考えているからです。お客さまの家への愛着に寄り添う真摯な姿勢に、仕事への愛を感じた取材でした。

（２０１７年９月取材）